「権利義務に関する書類」、その作成及び相談
行政書士は官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成、同内容の相談やこれらを官公署に提出する手続について 代理することを業としています。その書類のほとんどは許可認可(許認可)等に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われます。行政書士は、「権利義務に関する書類」について、その作成(「代理人」としての作成を含む)及び相談を業としています。
「権利義務に関する書類」とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類をいいます。 「権利義務に関する書類」のうち、主なものとしては、遺産分割協議書、各種契約書(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇傭、請負、委任、寄 託、組合、終身定期金、和解)、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書、定款等があります。
農地を宅地に転用したい
田や畑等のすべての農地を農地以外に利用したいときには、農地転用が必要になります。農地転用の手続きをしないと後から現状回復命令を行政機関に出されるといった事態になりかねませんので、ご注意ください。
農地転用には、いくつかの種類があります。市街化区域では農地転用届出、市街化調整区域では農地転用許可申請、青地農地を白地農地に変更する場合は、農用地除外申請がそれぞれ必要になります。
農地転用
- 畑に家を建てたい、田んぼを駐車場にしたい
市街化調整区域の建築許可申請
市街化調整区域では、建築行為は都市計画法で厳しく制限されています。市街化調整区域で家を建築する場合、もともとある建物を改築、用途変更する場合、所轄の行政機関へ申請し、建築許可が必要になります。市街化調整区域で建築許可をしないと後から建築行為のストップや取壊しという行政命令といった事態になりかねませんので、ご注意ください。
市街化調整区域の建築許可申請
- 市街化調整区域に家を建てたい
- 市街化調整区域の家を建替えたい
農地を売買・賃貸するとき
農地(市街化区域内の農地を含む)を農地として売買、賃貸借等をする場合には、原則として、農業委員会(権利取得者が当該農地の所在市町村外に居住している場合は都道府県知事)の許可が必要です。「許可指令書」が無いと農地の所有権移転登記が出来ませんし、許可を受けないで売買や賃借したりすると、農地法92条により罰せられることがありますので注意が必要です。また、耕作する目的ではなく、転用の場合には、農地法5条に基づく許可が必要となります。
農地を売買・賃貸
- 所有する農地を売りたいと考えている
- 農地が売れる具体的な価格を知りたい
未登記の建物について
不動産の売買をする際、現場と公的書面(公図・建物図面・登記事項証明書等)によって、不動産の形状や権利関係を確認しますが、調査の結果、建物は現存するが登記されていない場合があります。このような建物を俗に未登記建物と呼びます。逆に、登記がされている建物を『既登記建物(きとうきたてもの)』と言います。
未登記のままの理由として多いのは、昔は新築する際に、金融機関(銀行・信用金庫など)から融資(住宅ローン)を受けず、自己資金で建てるのが一般的でした。この場合、登記が必要ないため、登記をしなかったことが考えられます。
未登記のデメリット
- 不動産の権利を主張できない 当然ですが、不動産の権利を主張するには登記が必要になります。所有権を登記しておけば、誰に対してでも「この不動産の持ち主は自分だ」と主張できます。不当に所有権を主張する者を排除できるので、自分の財産を守ることが可能です。
- 不動産を担保にした融資を受けられない 登記簿上の所有者でなければ不動産の売却が難しいのが現状です。売却自体は可能かもしれませんが、外見上は「登記簿上に何の権利もない人が不動産を売ろうとしている」形になります。
- 所有者が特定できない 登記簿で所有者を確認できないと、その不動産を取得するために誰と交渉していいかわからない場合があります。例えば、所有者が死亡したのに相続登記が行われていない場合は、相続人の誰と話をしていいのかわかりません。下手をすると相続人全員の居所を突き止めて交渉する羽目になりかねません。所有者を確実に特定できるように相続前に未登記の状態を解決しておけば、こういった事態を防ぐことができます。